ピアノの親戚、打弦楽器「ダルシマー」の音色・演奏にハマりそう

「発音」に注目して鍵盤楽器を分類すると

ピアノは一般的に「鍵盤楽器」と呼ばれています。ですが、鍵盤は12音が並んだ“スイッチ”の形状によるもので、どうも本質的な分類とはいえません。

同じ鍵盤楽器であっても音の出し方に注目すると、パイプオルガンは管楽器でリコーダーの仲間のようですし、チェンバロは弦を爪弾くギターの仲間、ピアノは弦を叩く打楽器とも考えられます。

音楽学者 クルト・ザックス
音楽学者 クルト・ザックス

19世紀後半、ヨーロッパ列強の植民地の拡大の副産物として、世界各地の民族楽器が比較・研究されるようになると、論理的な分類を目指す楽器分類学が成立しました。

中でもクルト・ザックス(アメリカの音楽学者)とエーリヒ・フォン・ホルンボステル(ドイツの音楽民俗学者)による「ザックス=ホルンボステル分類」がメジャーな存在で、彼らは「楽器とは音を出すための道具である」という基点に立ち、発音原理を上位の分類要素として体系化しました。

ザックス=ホルンボステル分類は、あらゆる楽器をまず体鳴楽器・膜鳴楽器・弦鳴楽器・気鳴楽器の4つに大別。そのうえで、奏法と形状を下位分類要素としています。ピアノ、チェンバロは弦鳴楽器、パイプオルガンは気鳴楽器になります。

世界中にいろんな種類がある弦鳴楽器の多くは、弦を弓などでこするもの(バイオリン、胡弓等)か、あるいは弦をはじくもの(ギター、チェンバロ等)です。弦をハンマーで叩いて発音する「打弦楽器」は少数派。打弦楽器にはピアノのほかにダルシマー(ハンマーダルシマー)があります。

ピアノ好きは、普段から同じ鍵盤楽器であるチェンバロやオルガンの楽曲にも親しんでいます。それなら、弦鳴楽器の仲間であるダルシマーの響きにも親しめるはず。

ピアノの親戚「ダルシマー」とは?

ダルシマーは台形の木に金属製の弦を張って、小さなハンマー(ばち)で叩くことで音を出します。グランドピアノの大屋根を外して、ばちで直接叩くような感じ。

仕組みが同じなのでピアノ(特にフォルテピアノ)に音色が似ています。ペルシャが起源で、11世紀〜12世紀には中近東からヨーロッパに普及したため、「ピアノの先祖」と呼ばれたりも。先祖というよりも遠い親戚でしょうか。ダルシマーと同様の楽器にインドのサントゥール、ハンガリーのツィンバロム、中国の揚琴、ドイツのハックブレットがあります。

ハンマーダルシマー

私が最初にダルシマーの仲間・揚琴(ヤンチン)の響きを聴いたのは中国でした。中国で揚琴は日本における琴のような存在で、街なかで教室を見かけました。

中国のピアノ「揚琴」の響きが好き(2008年12月21日)

ただ、中国の揚琴に比べると、ヨーロッパや北米のモダンダルシマー(?)は音域が広く、サイズが一回り大きいです。ピアノフォルテとモダンピアノの違いのようなものでしょうか。

揚琴のハンマーは竹製ですが、モダンダルシマーは打面の素材がバラエティーに富んでいます。木、皮、フェルト等、打面の素材が異なるハンマーを使い分けることで、音色もさまざまに変化します。

多彩なダルシマーの音色を聴いてみる

YouTubeで視聴できるダルシマーの演奏の中から、秀逸なものを3つ選んでみました。

まず、バッハの「フランス組曲 第2番 ハ短調 BWV 813」。一瞬、フォルテピアノで弾いた演奏では?と勘違いしそう。古風な音色が味わい深いですね。

ダルシマーの音色は、アイリッシュミュージック、ニューエイジミュージックと相性がいいのか、YouTubeを検索すると、森や草原、高原など、野外で演奏している動画が多数あります。インドアのピアノ、アウトドアのダルシマーでしょうか。

最後に“ハンマーダルシマーのジミ・ヘンドリックス”と称される名手、マックスZTの超絶技巧の演奏を。ダルシマーという楽器の魅力にどっぷりハマってしまいそう。


【お願い】ブログランキングに参加しています。読んだらこちら(にほんブログ村へ)をクリックいただけないでしょうか。励みになります。