書評/『自分の音、聴いてる?』山本美芽著

2015年8月4日

山本美芽『自分の音、聴いてる?』昨日のブログで、「アマコンのA部門、本選に毎年コンスタントに進む人は、“たぶん「聴く」ことに長けた人じゃないだろうか”」ということを書いた。

そういえば、一年ほど前に読んで感想を書けずにいた音楽書がある。山本美芽さんの著書『自分の音、聴いてる? 発想を変えるピアノ・レッスン』だ。

山本さんは著書『21世紀ヘのチェルニー 訓練と楽しさと』で、私を“ツェルニーカルト”から解放してくれた音楽ライター。ピアノ教育の常識に切り込んでいく彼女の文章に、ずっと注目している。

この本の冒頭に、昨日のアマコン二次予選で感じたことへの解答が書かれていた。

「どうやったらピアノがうまくなれるか」、その疑問に対して、多くのピアノの先生は「練習すること」と答えることだろう。ピアニストの指が速く動いていいるのは見えるが、ピアニストがどれぐらい聴く力を持っているのか、見ることはできない。だから、「ピアニストはたくさん練習したから、うまくなった」と、多くの人が考えてしまう。
(中略)
要するに、うまい下手といわれるものの正体は、練習量の差というより、聴いているかどうかによって生じる「練習の質」の差が、長い間積み重なって、演奏の質に決定的な差となってしまってあらわれた状態、といえる。

まさに「弾く力」とは、実は「聴く力」であると彼女は述べる。

では、聴く力を身につけるにはどうすればいいのか?

この本の中では、「読譜」「歌うこと」「ソルフェージュ」等、聴く力を得るためのさまざまなアプローチについて、クラシックだけでなく、ジャズピアニストやフュージョンのキーボーディストなど、多くのミュージシャンのインタビューを通じて解き明かしている。

あえて、聴く力を身につけるために、私が一番の近道と思ったところは、「室内楽、アンサンブルに積極的にトライすること」だった。

ピアノは一人でオーケストラに並ぶ音楽を紡ぐことができる反面、どうしても演奏する際、一人よがりになりがちだ。しかし、室内楽を演奏するには、まず一緒に弾く人の音をリズムを聴けないと音楽にならない。そして、パートナーを引き立てるには、自分の音のバランスを常に意識しなければならない。

この本を読んで、ソロでいい演奏をするために、定期的に室内楽や連弾をやることこそ実は近道だろうと確信した。


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