30年ぶりの映画『テス』、究極の薄幸系女子!

映画『テス』

初めて一人で映画館で見た映画が『テス』

1980年、中学2年生の時に、生まれて初めて一人で観に行った映画が『テス』でした。映画館は、今はなき大阪・堂島の名画座「大毎地下劇場」。『ロミオとジュリエット』との二本立てでした。

なぜ、『テス』を観に行こうと思ったのでしょう? 実は、その半年ほど前、一つ年上の先輩の家に遊びに行った際、勉強机の上に『テス』のパンフレットが置かれていたのです。私は、その表紙の白いドレスの女性に心を奪われました。主人公を演じた若き日のナスターシャ・キンスキーです。

映画『テス』パンフレット
映画のパンフレット

「中二病」とはよく言ったものです。私は中学2年生、14歳の頃の経験と価値観は、その後の人生に深く刻印されると思っています。好きな学科、好みの音楽、そして好みの女性のタイプ‥‥。私の場合、14歳で出会ったナスターシャ・キンスキー演じるテスが、その後、いいのか悪いのか、無意識に追い求める女性像になってしまいました。

先輩の家で『テス』のパンフレットを見てから半年ほどして、私は新聞広告で大毎地下劇場での上映を知り、意を決して学校帰り一人で映画館に出かけました。

映画『テス』

ロマン・ポランスキー監督のアカデミー賞受賞作

さて、『テス』。原作はヴィクトリア朝時代の作家、トーマス・ハーディの『ダーバヴィル家のテス』。ポーランド出身のロマン・ポランスキー監督によるフランス・イギリス合作映画で1979年に公開。当時、30億円という巨額の製作費が話題になっていました。アカデミー賞の撮影賞、美術監督・装置賞、衣装デザイン賞を受賞しています。

下は物語、Wikipediaより。

 ある日突然、父の家系が伯爵家だとわかった美しい少女テス(テレサ)は、近くに住む金持ちの家ダーバヴィル家に親戚と名乗り、援助を頼みに行かせられる。テスはダーバヴィル家の持ち物である農場に奉公に行くことになるが、祭りの夜、女主人の息子アレックに犯され、情婦にされてしまう。テスは農場を出て行くが、戻った実家で子供を産む。子供はすぐに死んでしまい、テスはまた別の遠い農場に奉公に行く。

 その農場には、牧師の息子だが農場主を目指しているエンジェルという青年がいた。テスとエンジェルは恋に落ちるが、テスは自分の過去を告白できず、彼との結婚を承諾できない。過去を告白した手紙をドアの下からエンジェルの部屋へ差し込み、何も変化の無いエンジェルからのプロポーズを受け入れるが、マットの下に入り込んで手紙が読まれていなかったことに気づく。結婚式の夜、とうとうテスはエンジェルに告白するが、エンジェルはテスを許せずに出て行ってしまう。

 テスは故郷に帰るが、父親が死に、一家は困窮を極めていた。かつて自分を情婦にしたアレックがしつこく援助を申し出るが、テスは断る。しかし家賃を滞納して家を追い出され、ダーバヴィル家縁の地へ移るが、金がなくて家を借りることも出来ない。テスはアレックからの援助を受け、再び情婦として彼の元で暮らし始める。

 時が流れ、テスを許したエンジェルは彼女を迎えに行くが、アレックの情婦となっていたテスは彼を追い返すことしか出来ない。だがアレックの言葉に激昂したテスはアレックを刺し、エンジェルを追いかけて二人で逃亡する。二人は各地を彷徨うが、ストーンヘンジのある野原で捕まり、その後テスは処刑される。

映画『テス』

14歳、まだまだピュアなローティーンの男子だった私にとって、『テス』はあまりに衝撃的なストーリーでした。

  • 清純な少女が森の中で放蕩息子に犯され、情婦になってしまう
  • 子供が産まれシングルマザーに。しかも赤ちゃんは病気ですぐに亡くなってしまう
  • 純粋すぎる夫が妻の過去に悩み、妻を置いて遠くに旅立ってしまう
  • 再び放蕩息子の情婦になるものの、夫が現れてテスは放蕩息子を殺害
  • 朝もやのストーンヘイジでテスは警察につかまり、その後処刑される

「こんなことがあっていいのか!」

映画を観終わった後、行き場のない憤りで胸がいっぱいになりました。この経験は私の嗜好に化学反応を引き起こし、その後、細身の病弱薄幸系の女子を見ると放っておけなくなってしまいました。

大人になって、脇役の男二人の評価が変化した

さて。

30年ぶりにこの映画をDVDで見直しました。一番の驚きは、放蕩息子アレックとテスの夫エンジェルへの私の評価が180度変わったこと。

昔はアレックに生理的な嫌悪を抱いていましたが、いま見直すと、どうしようもないオトコではあるけれども、彼なりにテスを真摯に愛そうとしていたのでは?と思います。想いは一途だし時間も長い。そして、テスの家族の生活まで保障しているのですから、ここは立派だと思いました。

一方、テスの夫エンジェル。中学生の頃は、理想を追い求める姿に自分を重ね合わせたりしましたが、いま見直すとあまりに自分勝手。嫁さんを放置して自分一人感傷旅行とは、究極の自己チューです。アレックスよりエンジェルの方が許せないです。

あと、30年経っても、変わらず素晴らしいのはファッション。ナスターシャ・キンスキーのカントリーファッションは本当に可愛くて、美しい。この趣味は、私、死ぬまで変わらないと思います。

↓ フィリップ・サルドの憂いある音楽も最高 ↓

ところで、イギリスBBCで、2008年にドラマ『テス』が放送されたことを、最近知りました。かなり気になっております。


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雑記映画

Posted by 鍵盤うさぎ