父親の家族葬、よかったところ、しんどかったところ

2018年11月9日

4月末に父親が亡くなって、半年が過ぎました。早いなぁ。

享年82歳でした。20年前に尿管ガンになり、その後、肺、腎臓に転移したものの、早期に発見したことと、ガンになった場所がいずれも2つある内蔵だったため(摘出しても一つが残るため)、結局、男性の平均寿命よりも長く生きることができました。なので、父の死について、十分に腹落ちしています。

生前の本人の希望もあり、通夜・葬儀は家族だけで行いました。参列したのは母親と弟2人の4人。最少人数の家族葬でした。

父親の葬儀
参列者4人なので、葬儀会社のスタッフも1人だけだった。葬儀終了後、遺された4人で記念撮影。カメラマンも頼まず、葬儀会社のスタッフに撮影してもらった。

実際に家族葬を体験して、よかったところ、しんどかったところ、二面性があります。参考まで書き留めておきます。

家族葬のよかったところ

家族葬といっても、いろいろです。親類縁者を含めることもあれば、父親の二等親、兄弟・子供までということもあります。うちの場合は母親(父親の妻)と子供3人だけで行いました。父親の姉が存命でしたが、葬儀が終わるまで父の死を伝えませんでした。ここは母親の希望でした。

最小限の家族葬のよかった点は、通夜・葬儀・出棺を通じて、じっくりと父親に向き合えたことです。通夜・葬儀をオープンにすると、来訪者、参列者への対応に追われることになります。ここは祖父母や親類の葬儀で何度も体験していました。

通夜や葬儀の後は、しばしば「オヤジの飲み会」になってしまい、故人を偲ぶという雰囲気ではありませんでした。また、葬儀の段取りやら飾り付けに、一家言を持つうるさい老人もいて、煩わしい思いもしました。実際、父親が亡くなる直前に、何人かの親戚のおじさんがお見舞いに現れましたが、病室で自分自身の苦労話ばかり私たちに語って帰り、トホホな気分になりました。

通夜・葬儀共に設備の整った葬儀会館ではなく、父親が生前通っていた浄土真宗のお寺で行いました。古い本堂にて、仏式で通夜・葬儀を行ったので、木と畳と線香のにおいが立ち込め、何とも厳かな気分に。天井が高い畳敷きの本堂で、久しぶりに家族五人で過ごした一晩は一生の思い出となりました。

父親の葬儀
通夜、葬儀を行った木造のお寺の本堂。祭壇も置かず、阿弥陀仏の本尊前に棺を設置(住職いわく、「本来、本尊を祭壇で隠すのはよくないこと」と)。座席は母親と三人の息子の4席のみ。

スピーカーから流れるBGMや、お涙ちょうだいアナウンスの司会も頼みませんでした。葬儀は僧侶の読経の響きと共に、表の鳥の鳴き声が聞こえてきて、のどかな雰囲気に。これも本当によかった。

家族葬のしんどいところ

古来、葬儀というのは非常にお金がかかるもので、これを参列者の香典によりシェアしています。親戚・近所で亡くなったときはお互い様。お互い工面し合うのが伝統的な葬儀をめぐる「お金」のあり方だと思います。

ところが、家族葬をすると、葬儀にかかるお金は、すべて家族で負担しなければいけません。慎ましやかな葬儀であっても、150万円程度必要でした。父親も母親も年金暮らしで、ここにかかる貯蓄はなく、子供たち兄弟で負担することに。

実際には葬儀だけでなく、入院してから亡くなるまでの入院費用も負担する必要があり、私の場合は、息子の学費用の貯蓄を切り崩して工面しました。

あと、父親の学生時代の親友や、少なからず縁があった遠い親戚からしてみると、「なぜ、黙っていたのか? 葬儀に呼ばなかったのか?」という軋轢が生まれました。ここへの非難は、家族葬にすると決断した母親に受け止めてもらうしかありません。私は大阪の実家を出て首都圏に住んで20年になり、親戚との付き合いはほとんどないので、気が楽ですが。

私なりの結論

まとめます。

家族葬のメリット

  • 通夜・葬儀を通じて故人とじっくり向き合える。
  • 花や飾り、香典返し等、葬儀に見栄を張る必要がない。
  • 家族葬のデメリット

  • 参列できなかった親族、友人との今後の付き合いに、支障をきたす可能性あり。
  • 一時的に大きな出費あり。
  • 家族葬をおすすめする人

  • (私のように)実家の地縁・血縁コミュニティから離れ、公務員、会社員等、地縁とビジネスのつながりが薄い人。
  • 一時的な大出費を、数年でリカバーできる安定した収入がある人。
  • 家族葬をおすすめしない人

  • 地域を商圏とする商店主、事業主等、地縁・血縁が生計に関わる人。今後の暮らしのリスクとなる可能性あり。

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    雑記死去

    Posted by 鍵盤うさぎ