’15年初の師匠のレッスン、1曲仕上げるのは大変

2015年7月26日

金子勝子レッスン先週火曜、今年初めて師匠のレッスンを受けた。毎年1月初旬は、多くの子供の門下生がショパン国際ピアノコンクール in ASIAに参加するため、レッスンは参加者が優先になる。私はここ数年、家計的な事情もあり、ステージは夏のコンクール1回、冬の発表会1回、春のオフ会1回くらいにしている。なので、主に師匠が時間的余裕がある時期(お子様のコンクール前や高校受験前以外)に、細々とレッスンいただいている。

夜7時に会社を出て師匠のご自宅へ。とても外が寒かったので、指先がかじかんでいる。なので最初に20分ほど師匠のオリジナルメトードを。最近、また新しいのを考案したということで、早速教えていただいた。低音をオクターブで弾いた後、すばやく2オクターブ上に移動して転回した重音を弾くというもの。スコット・ジョプリンのラグタイムの伴奏系に似ている。ただし、素早く移動する際の「腕の円の描き方」がミソ。

師匠のオリジナルメトード、ここ5年ほど、新しいものをまとめて楽譜出版化すればよいのにと思う。ただ、体の使い方が重要なので、楽譜だけでなく、レッスン風景を撮影したビデオオンデマンドが必要かもしれない。

技術的に平易でも音楽的には難曲だった作品10-6

今日の一曲目は、ショパンの練習曲 作品10-6 変ホ短調。

ショパンの練習曲 作品10の中では、一番技術的にやさしい楽曲なので気軽に取り組んだ。が、数カ月弾いてみて、実は音楽的に非常に難易度の高い楽曲であることに気がついた。弾けるけれど、音楽にならないのだ。これは金子一朗さんも、この曲は難しいとおっしゃっていた。

ショパンの練習曲は一つの曲を一つの音型で作られているものが多い。テンポが早くて激しい曲なら気にならないのだが、この曲のようにテンポが遅いと何やら冗長に聞こえてしまう。そこで音楽性が求められる。

さまざまなピアニストによるショパンの練習曲集の演奏を聴いてみたが、この作品10-6でピアニストの真価が問われるように思った。私が聴いた中で、最上はアルフレッド・コルトーの演奏。モノラル録音のハンディをものともしない“芳醇な香り”に息を飲む。

 
師匠いわく、「ソプラノ、アルト、バスの三声の動きが、一音一音“行方”を持っていないと音楽にならない。この曲は本当に難しい」と。なわけで、一声部ずつ一音一音、45分ほどかけてやり直し。先は長そう。

アダージョ K.540、強弱記号の意味を捉え直す

もう一曲は、モーツァルトのアダージョ K.540 ロ短調。12月の発表会で弾いたが、3月、古楽器の演奏会で弾くので復習。

こちらは、強弱記号の意味合いをもう少し深掘りするべき、と。「スフォルツァンドであっても、ただバチャンと弾けばいいのじゃないわよ」。前後の流れにより強弱記号の意味は変わることを、もう少し考えるべき。確かに。

それから、二度同じ音型が続く場合は、一度目と二度目の違いをしっかり考えること。こちらもやっているつもりだが、そこに絞って一流ピアニストの演奏を聴きなおすと、細部に魂がこめられていることに驚く。

下はホロヴィッツの演奏。実は私、ホロヴィッツはラフマニノフやショパンの大曲よりも、スカルラッティやモーツァルトの小曲の演奏が好き。「エレガント」という言葉は彼の小曲の演奏にあると思う。

 
そんなこんなで、この曲もまだまだ課題が多いことがよくわかった。

一曲をちゃんと仕上げるというのは大変。なかなか新しい曲にチャレンジできないなぁ。


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著者/金子勝子 発行/ショパン社

自分の先生に、なかなか訊くことができない素朴な疑問や悩みに、師匠・金子勝子先生がズバリ本音で答えています。例えば、「二人の先生につきたいが、今ならっている先生に言い出せないのですが‥‥」「自分の先生のリサイタルのとき、楽屋に行ってもいいものでしょうか‥‥」「音大に社会人入学で自信が持てない‥‥」。ぜひ!


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