感想/東京ユヴェントスフィル演奏会、マーラー「交響曲第3番」

日曜、2017年一発目のコンサートへ出かけた。ミューザ川崎で行われた、東京ユヴェントス・フィルハーモニーの第14回定期演奏会。

ここ2年ほど、コンサート、リハーサル共に、ミューザ川崎に出かけることが本当に多い。私にとっては、杉並公会堂に次ぐ準ホームグランド的存在になった。上野東京ラインの開通により、さいたま市方面からアクセスしやすくなったことが大きい。交通機関の整備が人の移動に大きな影響を与えることを、身をもって感じている。

アマチュアとは思えぬ演奏水準の高さ

さて、東京ユヴェントス・フィルハーモニーは、もともと2008年に慶應義塾の高校生・大学生を中心として結成された学生オーケストラ。2014年、より幅広い年齢層や出身のメンバーが加入し、現在の名前に改称した。若いメンバーが中心のアマチュアオーケストラだが、初めて彼らの演奏を聴いて、演奏水準の高さに度肝を抜かれた。

私の周囲では、難曲をものともせず、涼しい顔(かつ高いクオリティー)で演奏する アマチュアピアニストを、愛をこめた隠語で「変態」と呼んでいる。彼らは、まさに日本のアマチュアオーケストラ界の「変態」だと思う。

昨年1月、すみだトリフォニーホールでのブルックナーの大曲「交響曲 第8番 ハ短調」の演奏が記憶に残っている。その演奏動画、ご覧いただきたい。

今回もウルトラシンフォニーが演奏された。マーラーの交響曲の中でも一、二の大曲「交響曲 第3番 ニ短調」だ。前奏として、管弦楽付き合唱曲が2曲も演奏。下がこの日の意欲的なプログラムと演奏者。

【プログラム】
ブラームス :アヴェ・マリア Op.12 -女声合唱と管弦楽のための-
ヴォルフ :妖精の歌 -女声合唱と管弦楽のための- (※)
マーラー :交響曲第3番 ニ短調 (★)

【演奏】
指揮:坂入 健司郎
演奏:東京ユヴェントス・フィルハーモニー
(コンサートミストレス:毛利 文香)
アルト:谷地畝 晶子(★)
ソプラノ:首藤 玲奈(※)
合唱:オルフ祝祭合唱団(合唱指揮:谷本 喜基)(★)
児童合唱:中央区・プリエールジュニアコーラス(合唱指揮:古橋 富士雄)(★)

集中力、組織力、運営力

この日の3曲は、いずれもライブで聴くのは初めて。児童合唱入りの管弦楽曲というのをライブで聴くのは初めてだ。

まず、オーケストラ。今回もエネルギッシュな演奏に感嘆した。多少のキズや粗さははまったく気にならない、スケールの大きさに脱帽。特にマーラー3番の第1楽章が素晴らしかった。30分間、聴く側をぐっと引きつけて離さない集中力の高い演奏だった。

それから、私はこれまでオーケストラの演奏会は器楽曲ばかり聴いてきた。オペラは別にして、演奏会形式の歌曲を聴くことがまれだった(ベートーヴェンの『第九』でさえ未体験)。歌と管弦楽のマッチングの魅力に気づきをもらった。

しかし、何より驚いたのは、公演の組織力と運営力だ。ミューザ川崎のシンフォニーホールの座席数は約2,000席、合唱メンバーの座席を外しても、7〜8割程度の聴衆が座席を埋めていた。この大ホールで空席率の低いアマチュアの演奏会も珍しいのでは? また、合唱やプロのソリストを含めた組織力、メンバー自身による会場の運営能力もレベルが高い。

鍵盤うさぎの音楽ライフ、気持ちのよい一年の始まりになった。


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