失われたドレスシャツへの怒り

2015年8月14日

紀尾井ホールの演奏会は、タキシードを着て演奏したのですが、前々日、タキシード用のドレスシャツがどんなに探しても見つからなかったんです。前回、タキシードを着たのは、アールンコンクールの入賞者演奏会。たぶん、翌日にはクリーニングに出したはず。なのに、押入れの中をさんざん探したのに出てこなかった。

で、その日、いつも利用しているクリーニング屋に行って、もし見つからなかったら、そごうで新しいドレスシャツを買おうと決意しました。クリーニング屋にいくと、店の中先客が数人並んでいます。

ここのクリーニング屋のおばさんは、いい人なんだけど、とにかく要領が悪い。一万円でおつりを出すのに、千円札を三回も四回も数えるような人なんです。私は、大阪生まれの「いらち(気が短い)」なので、このクリーニング屋に行くと、いつもイライラしてしまいます。

この日も、何だか一人の案件を処理するのに10分も15分もかかるので、私、しびれを切らし、「どうせ、ここにはないだろう」とたかをくくって、バスでそごうに向かってしまいました。

タキシードのドレスシャツなんてめったに着ないじゃないですか。「買うのもったいないな」と思いつつ、そごうの紳士服フォーマルのコーナーに行くと、なんとカフスボタンもないことに気がつきました。結局、ドレスシャツ16,000円、カフス8,000円、合計24,000円の出費です。家に帰って、妻の機嫌が悪くなったのは言うまでもありません。

でね。

今日、冬もののコートとジャケットをクリーニング屋に出しに行った際、要領の悪いおばちゃんに念のため、尋ねてみたんです。「取りに来ていないドレスシャツはないですか?」って。すると、おばちゃん、「ドレスシャツの忘れ物はないですね」って。おいおい、探しもしないで言うなよ。

「持ち帰ってない可能性あるんですっ!」と、ちょっと強めの口調で言うと、奥に入っていってモソモソ探し物をしてね。

「これですか?」
おい! ( ゚Д゚)ゴルァ !

私のドレスシャツ、約一年もの間、忘れ物コーナーに放置されていたんだ。近所なんだから、電話でもしてくれればいいのに。ま、この要領の悪いおばちゃんに、ホスピタリティ精神は期待できそうにないけど。

ベートーヴェンの「失われた小銭への怒り」を、無性に聴きたくなった。


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