エアチェックとカセットテープの思い出

2014年5月26日

「YouTube」はラジオ代わり、CDは買わない?――イマドキ中高生と音楽(ITmedia)

別に今どきの中高生でなくっても、CDは買わない、いや買えないのでは?

私も、中学・高校時代、LPレコードなんてめったに買えなかったな。LPレコードといえば、高校時代、キリル・コンドラシンとマルタ・アルゲリッチのラスト「チャイコフスキー・ピアノ協奏曲第1番」、清水の舞台から飛び降りる勢いで買いましたよ。聴きたい音楽のほとんどは、FMラジオをカセットテープに録音する“エアチェック”でした。

夜7時までピアノの練習をした後、夕ご飯を食べて、夜8時からのNHK「FMクラシックアワー」を聴くのが日課でした。情報誌の「FMファン」は必ず購入。次週に放送される楽曲の録音時間を、蛍光ペン片手に確認。夜8時の放送開始とともに、ラジカセの赤い録音ボタンとプレビューのボタンに、二本の指をかけてじっと待機。ポップスやロックなら60分テープでいいのだけど、クラシックの場合、演奏時間45分の交響曲なら、最後がブチ切れないように、90分テープをセットして、演奏開始までギリギリまでスイッチを入れられませんでした。じっと息を詰めて、解説が終わるのを待ってました。

作曲家・諸井誠氏のポツポツとした解説は、いい感じだったな。諸井氏は「FMクラシックアワー」に1981年から1985年3月まで出演。私の中学・高校時代、夜のゴールデンタイムは、まさに諸井氏と共にありました。クラシック音楽の知識のほとんどは、諸井氏の解説に学んだといっても過言ではないです。現在、87歳、まだご健在とのこと。一度、講演をお聞きして、講演後にお声がけして御礼を言いたいものです。

それはともかく、小遣いが少なく、LPレコードなんて買えなかったので、普段は、ソニーの緑のBHFのノーマルカセットテープを電気屋さん(!)でまとめ買いしてました。ちょっと財布に余裕があるときは、金色のフェリクロームテープを買ったりしました。今から考えると、FMラジオから録音しても、音質にさほど差はないのにね。


テープのA面とB面に録音する曲も、自分なりにこだわりがあって、交響曲の“裏側”にピアノソロの曲を入れたりしなかったですね。A面がメンデルスゾーンのバイオリン協奏曲だったら、B面はチャイコフスキーのバイオリン協奏曲。A面がシューマンの幻想曲だったらB面は「謝肉祭」とか、「FMファン」を見ながら、うまくカップリングしたりしてました。

カセットテープのラベルにも凝ってました。ワープロなんて気軽に買える時代じゃなかったので、インレタ(インスタントレタリング)をこすってラベルを作成。完成した!と思ったら、HaydnがHydenになっていて、落ち込んだり(これ、今でもよく間違います)。よく使う「e」や「i」だけ先になくなって、「X」「Z」が余っているのに、新しいインレタを、自転車で文房具店まで買いに行ったりとか、ね。

ともかく、CDであれ、LPレコードであれ、中高生には、時代を超えて高値の花なのだと思うのです。


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