アールンコンクール栃木本選報告(午後編)

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お待たせしました。3月8日(日)に参加したアールンコンクール栃木地方予選・本選レポートの後編です。前編(午前編)はこちら

とりあえず、宇都宮の市街地をズドーンと東西に伸びる大工町通りまで出て、ランチどころをプラプラ探すと、ちょっと昭和のにおいがする喫茶店を発見。「AKAITORI」って名前も1970年代っぽい。店先に「黒カレー」とある。ブラックカレーではなく、黒カレーというのがいい。

店内に入り、早速「黒カレーミニサラダ付き」を注文。黒胡椒がいっぱい入ったスパイシーなカレーを想像していたけど、実際に出てきたカレーは、色は黒いものの味はマイルド。しっかりと煮込まれた肉も、まろやかな味わい。サラダがライスの上にドバっと盛られていて、キャンプ地のカレーライスっぽいビジュアルだった。1954年オープン、宇都宮の名物店らしい。

黒カレーで満腹になったけど、時計の針はまだ午後1時前。店の角を曲がり、南に歩いてみる。古風な店構えの寿司屋とかレトロな時計屋とかあって、懐かしい商店街の雰囲気。釜川という小さな川があって、川沿いには時計塔やあづま屋、小さな公園も整備されている。前橋も、街なかにこんな川があったっけ。
宇都宮市街川の北側には、大きなアーケードを持つオリオン通りという商店街があった。日曜の昼間なのに閑散としている。いろんなお店があるのだけど、あえてここで買い物をしなきゃというお店はない。ヤマハがあったので、しばらく楽譜を見て時間をつぶす。ちょうどPTNAコンペティションの課題曲が発表されたばかりなので、課題曲楽譜のコーナーが出来ていた。

オリオン通りを突き抜けて、なおも西に歩いていくと、地元の若者たちが、ケーブルテレビ局の前で小さなライブを行っていた。熱い青春の息吹を感じさせるボーカルだったが、観客は女の子が一人。どうもこのエリアは、繁華街としての絶対的なトラフィックを欠いているようだ。
宇都宮市街
それでも、まだ午後2時すぎなので、オリオン通りのヴィ・ド・フランスで、レモンティーを飲みながら時間をつぶす。暇なので、ケータイを取り出していろんなブログを読んでいたら、下の記事を目にした。

気が滅入っていた理由(ミケンにシワ)

‥‥‥‥。

「40歳すぎると、どうしようもない重たい別れが確かにあるな」と、思わず自分を振り返る。

二年前に、ピアノを再開したとき、友人十数人を呼んで小さな内輪の発表会をやった。そのとき、来てくれた男友達が昨年、病気で亡くなった。内輪発表会の翌日に、彼が「何か熱いものが沸きだしていましたよ。ピアノっていいなあ、とじんわり感じていました」って内容のメールをくれた。結局、その後、内輪発表会を最後に彼とは会えずじまい。

「逗子、鎌倉、よく彼と遊びにいったな‥‥あ、全国大会、鎌倉かぁ」とか、いろんな思いがごちゃ混ぜになった何とも重い精神状態で、2時30分にコンクール会場に戻った。

アールンピアノコンペティション栃木会場のあるサブホールは、他の人の演奏が聞こえてきて集中できないので、お隣のメインホールのロビーで出番を待つ。天井が高く、他に人はいない。だだっ広い空間でソファに座り、目を軽く閉じて、これから演奏するノクターンを曲の頭から響かせていく。自然と両手は演奏するように動いてしまう。シャドーボクシングならぬシャドープレイング‥‥。

喫茶店からの重い精神状態のまま、三度、頭の中でノクターンを弾いたら、身体の中は重い響きでいっぱいに満ちてしまった。控えのホール裏に向かった。私の前は高校生かな? ベートーヴェンのソナタを演奏している。すぐに自分の出番が来て再びステージへ。
苦手のスタインウェイも午前中に一度演奏しているので、勝手がわかるようになっている。午前中よりもピアノが鳴っているのがわかる。でも、そんなこと、どうでもいいや‥‥。

あっという間に演奏が終わった。「いろんな思いを宙に放出した」って感じだった。風船の空気が抜けるように、思いがしゅるしゅると飛んでいったみたい。「あぁ、もう結果なんてどうでもいいや」と思えるほど、すーっと身体が軽くなった。

4時30分に結果発表。再び釜川沿いを缶コーヒー片手にプラプラと散歩して時間をつぶす。とにかく気持がよかったです。120円の缶コーヒーもうまい!

4時20分に会場に戻ると、参加者は全員ホールに着席していた。慌てて着席する。審査員それぞれの講評の後、点数の高かった六人に記念品が渡されるとのこと。「へぇー、地方本選でも表彰ってあるんだ」と感心をしたら、いきなり二番目に私の名前が呼ばれた。

えっ、私ですか?‥‥とりあえず立ち上がって、ステージの審査員と客席にお辞儀をした。

その後、ステージに上がって記念品をもらった。超ファンシーなボールペンだった。オヤジが使うのはちょっと恥ずかしいデザイン。明日、会社の若女子にあげよっと。

ステージの上で表彰されたのって、何十年ぶりだろ。子供の時以来だったりして‥‥。ともかく全国行きじゃん。よかった、よかった。
と思っていると、司会のアナウンス。

「全国大会に参加される方は、通常は参加料を現金書留でお送りいただきますが、全国大会まで日にちがありませんので、本日、受付で申し込み、お支払いいただくことも可能です」と。

財布の中には一万円札が二枚ほど。現金書留、郵送料高いよな、と考え、受付で全国大会の参加料を支払う。結局、この日、本選参加料16,000円+全国大会参加料19,000円を現金で支払うことに‥‥イタい。全国行きは想定していなかった。感想はこちらですでに書きましたです。

めでたさも 中くらいなり おらが春

なんて、小林一茶の俳句を思いながら、東北新幹線帰りは諦めて、在来線各駅停車上野行きで、宇都宮を後にしたのであります。
帰りの電車の中で、審査員の先生方の講評を読み直す。

「このままずっと聴いていたい‥‥と思わせる好感の持てる演奏でした。今のまま、自分の世界を大切に‥‥」と書いてくださった先生が(涙)。

ありがとうございます。20年ぶりにピアノと再会して2年、ちっとは成長しているやうです。

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