音大生への就職アドバイス【8】プロとアマに境界線なし?

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プロとアマチュアの違いって、皆さんはどう考えますか?

ピアノの演奏で、生活していけるかどうかでしょうか?

私は、食べていけるか、という「定量的」な指標って、あまり意味がない気がしています。例えば、ストリートミュージシャンとして、月の収入が20万円未満でも、一人なら生活していうことは可能です。実際、プロピアニストと言われる人でも、演奏のギャランティーだけで生活している「専業農家」のような方は、ごく一部のはず。多くのピアニストは、演奏家と指導者を兼ね、演奏以外での収入が多い「第二種兼業農家」でしょう。

では、演奏がうまいかどうか?

これも難しい判断です。ピアニストという仕事、医師、弁護士、旅行主任者等と違って、政府の許認可や資格が必要なわけではありません。「ピアニスト」と名乗れば、私も明日からピアニストです。コンクール入賞経歴は一つの指標ではありますが、演奏という「サービス内容」を保証するものではないです。実際、多くの大衆にとって、ある一定の「うまい」レベルを超えると、優劣などつけられないものです。

ピアノの演奏で、稼いでいくという行為がプロなのでしょうか?

例えば、私、自分の「鍵盤うさぎのピアノ練習ブログ」の上下にテキストとバナー広告を掲載していますが、閲覧数がどんどん増えて、月間100万PVくらいになれば、それなりの広告収入が入るようになります。私の稚拙な演奏動画、どうでもいい練習日記を閲覧いただいて、月10万円ほどの収入があり、会社を辞めたら、私はプロピアニストなんでしょうか?

なんか、違いますよね。

プロかアマチュアかというのは、結局のところ、演奏の優劣や「格」、収入の多寡ではないのです。

私、違いは「姿勢」にあると思っています。

著名ブロガーの小飼弾氏が、プロとアマチュアの違いを一言で述べています。

プロとアマの違いに関するたった一つの公理
相手と自分の利害が対立したとき、自分の利害を優先してよいのがアマチュア
相手の利害を優先しなければならないのがプロフェッショナル

この意見に、私も賛同します。

5月1日、紀尾井ホールで師匠の45周年記念演奏会に出演した直後、「もうコリゴリ」と心の底から思いました。一方、国際アマコンの2次予選を通過できなかったときは、残念ではあったけど、「来年も出るぞ!」と思いました。この心の差異は何から起こるものなのでしょうか?

結局、わざわざチケット代を支払って、演奏を聴きに来ていただいた方々に対して下手な演奏はできない=「相手の利害を優先しなければならない」プレッシャーから来るものだと思います。

プロとアマが姿勢の違いである以上、音大卒業後、プロでやっていくのか、アマでやっていくのかという二者択一をする必要はない気がします。

極論を言えば、一人のピアニストが、アマチュアとして弾くスタンスと、プロのスタンス、両方を使い分けていいのでは? と私は考えます。

もし、ピアノ科を卒業する音大生が、将来の職業として、ピアニストの選択を悩んでいるなら、「プロとアマチュアの境界線なんて実はない」と発想を変えてみてはいかがでしょう。

音大生への就職アドバイス(全10回)

【1】言葉で表現すること
【2】ピアノ専攻は体育会系である
【3】会社をアナリーゼしよう
【4】経営者視点で見たピアニストと指導者の違いとは
【5】ウサギの視線、カメの視線
【6】「苦手」は克服しなくてもよい
【7】ハングリーで、おバカでいよう
【8】プロとアマチュアに境界線はない?
【9】努力は夢中に勝てないんです
【10】No.1になりポジションを可視化する

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