ピアノ指導者に伝えたい、大人の生徒への「禁句」

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ピアノの生徒と指導者の師弟関係に、これ!という定理はないと思っています。

同じ言葉で語りかけても、発奮する生徒もあれば、やる気が失せる生徒もいるでしょう。逆もしかり。同じ言葉を生徒が発しても、指導者がうれしく思うこともあれば、落ち込むこともありそう。

お互いヒトとヒトですので、すべての人にとって「正しいコミュニケーション」は存在しませんね。

大人は子供には帰れない

ただ、私が大人の生徒への言葉として、「これは禁句だろう」と思うものがあります。

それは

「やっぱり、子供の頃からやっていないとね」

というもの。

ピアノを再開して10年、私、いろんなピアノの先生とお話をする機会があるんですが、この言葉を、ボソッとこぼす方が結構いらっしゃるんですよね。

「やっぱり、子供の頃からやっていないとね」。私が耳にした多くの場合、なぜか、前提が抜けています。「音大を目指すなら」「ピアノを飯の種にするなら」「クラシックピアノ好きの人たちの前で、恥ずかしくない演奏をするなら」等々、この言葉には前提条件が必要です。

たぶん、自分がピアノに触れてきた環境や音楽との接し方が、無意識のうちに前提条件になっているのかもしれません。

では、なぜ、大人の生徒に対して、この言葉を避けるべきなのでしょうか?

それは「大人は子供には帰れない」からです。子供に帰ってやり直すことは、大人の生徒には不可能。努力のしようがないのです。改善の余地がないことを、生徒にこぼすのは「指導」ではありません。

子供を基軸にしたピアノ教育の見直しを

もちろん、「ショパンエチュードは、子供の頃からずっとやっている人には弾きやすいけれど、あなたにはこちらのエチュードの方が合うと思う」というような、具体的な方向性を示すものなら別です。

そうではなく、独り言のように「やっぱり、子供の頃からやっていないとね」とこぼすのは絶対に避けた方がいいです。指導者が思っている以上に、大人の生徒は傷つくものですから。

最近、日本経済新聞でこんなニュースを目にしました。

ヤマハ、音楽教室テコ入れ シニア向け合唱教室増やす
 ヤマハの16年6月末時点の子供向け教室の生徒数は10年比3割減の28万人にまで減少、大人向けも横ばいの11万人にとどまった。ヤマハは20年時点で子供向けは24万人まで減り、大人向けも現状維持の11万人と想定。20年にシニア教室の生徒数を4万人まで増やし、子供の生徒の減少を補う。

たった7年間で3割の顧客(生徒)が減少となると、どの業界においてもビジネスモデルの抜本的な変革が求められます。急激な少子化の影響で、日本では子供の生徒はますます減るばかり。

ピアノ教育において、今はまだ大人の生徒はマイノリティですが、将来的には子供と大人(高齢者含む)の割合は、6対4くらいになると予想されます。

「子供の頃からやっていないと」という、子供の生徒を基軸にしたピアノ教育の常識は、そろそろ見直す必要があるのでは?

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