練習日誌- フランソワ・クープランの「双生児」の分析

金子勝子/瞬発力のメトード(使用楽譜
ハノン/スケールとアルペジオ 変ロ長調(使用楽譜
フランソワ・クープラン/クラヴサン曲集 第12組曲より「双生児」使用楽譜

年末の発表会、ここ数年、フランソワ・クープラン、ラモー、ジャック・デュフリと、フレンチバロックのクラヴサン曲を1曲入れている。小さなライフワークのようなものだ。

今年も一曲弾こうと思っている。フランソワ・クープランのクラヴサン曲集 第2巻 第12組曲より「双生児」。下の曲。

アレクサンドロ・タローがモダンピアノの特性を生かした素晴らしい演奏を録音している。

手元のフランソワ・クープランのクラヴサン曲集の解説書によると、この曲についてこんな解説が。

おそらく離れがたいロワゾン姉妹のこと。(中略)フォントネルは皆と同じ迷いを抱いた。

四つの美しい瞳に魅了されてしまった。
ああ、この苦しさはただ愛ゆえのもの
名を口にすらできない二人の姉妹に心を奪われた。
ああ、この苦しさはただ愛ゆえのもの
でもどちらへの愛なのか、私には分からない。

双子の女性に惹かれるのってどんな気分なんだろう? 「どちらへの愛なのか、私には分からない」って。

そういえば、村上春樹の小説『1973年のピンボール』の主人公は、どちらがどっちか分からない双子の女子と、不思議な同棲していたっけ。小説の中の静かな時間と同じような空気を感じる。

今日は40分ほどかけて、ざっとアナリーゼをした。ホ長調の第1部、ホ短調の第2部、そしてホ長調の第1部をリピートというシンプルな構成。

全体的に繋留音を多用しており、和声の「微妙な揺れ」が特徴的だ。和声進行はオーソドックスだけど、時折、トリッキーな箇所がある。例えば、下の箇所。

フランソワ・クープラン「双生児」楽譜
B7から通常はEmに解決するところ、Cで代用。そしてすぐその後がA7。ベースの「C → D → C#」という流れが意外な印象を与える。ここのトリッキーな響きが効いているので、その後ろに続く5度進行が、とても安らぎを感じる。実際に弾いてみると、あまりの美しさのあまり鳥肌が立った。

9月中旬をめどに、装飾音を抜きで通せるようにしたい。


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