新国立劇場オペラ『さまよえるオランダ人』感想

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新国立劇場『さまよえるオランダ人』
久しぶりにオペラを観ました。実に2011年のボローニャ歌劇場の『カルメン』以来。お芝居は年に4、5回は観に出かけているのですが、オペラとなると腰が重くなるのはどうしてだろう。チケット代が高いのもあるけど、平日夜は長時間の拘束がしんどいし、休日は都心まで出かけるのがしんどいし‥‥というのが要因だろうか。オペラというのは、心と時間に余裕がないとなかなか出かけられないものですね。

ボローニャ歌劇場『カルメン』、斬新演出に心踊った(2011/9/17)

で、なぜ、新国立劇場まで日曜わざわざ出かけたかというと、勤務先の社長の好意。「社員と少人数でオペラ、歌舞伎等に観に行こう」という呼びかけがあり、もともとワーグナーは大好きだし、新国立劇場のオペラハウスは入ったことがなかったので、参加させてもらった。会社行事の一環と言えなくもないです。

それに、『さまよえるオランダ人』はワーグナーのオペラの中でも、上演時間が比較的短い。2時間半くらい。昼2時に開演して5時には終了。それから帰宅しても夕食と大河ドラマ『花燃ゆ』には十分間に合うし(笑)。

なんて思いながら出かけると、一階中央の前寄りど真ん中という素晴らしいシートでした。しかも、社長のシートとは少し離れている。隣じゃなくてほっと一息。リラックスしてワーグナーの世界を堪能しました。

指揮は大御所・飯守泰次郎氏

下は公演のダイジェスト映像。


で、スタッフ&キャスト。

指揮/飯守泰次郎  演出/マティアス・フォン・シュテークマン
美術/堀尾幸男  衣裳/ひびのこづえ  照明/磯野睦

ダーラント/ラファウ・シヴェク  ゼンタ/リカルダ・メルベート
エリック/ダニエル・キルヒ  マリー/竹本節子
舵手/望月哲也  オランダ人/トーマス・ヨハネス・マイヤー
合唱/新国立劇場合唱団  管弦楽/東京交響楽団

オーケストラ以外、初めて聴く演奏家ばかり。だけど、ワーグナーのオペラは高校時代、バイロイト音楽祭をNHK FMでエアチェックして、ほぼすべて鼻歌で歌えるほど聴きまくった。『さまよえるオランダ人』はナマで初めて観る気がしない。典型的な「耳年増」ですね。

『さまよえるオランダ人』概要(Wikipedia)

ちなみに、私が一番好きなワーグナーのオペラは『ローエングリン』だ♪ エルザ・フォン・ブラバント!

合唱の魅力に気付かされる

とにかく、「愛と救済」といい「オトコ目線」といい「英雄的な音楽」といい、ワーグナーのエッセンスを2時間半という短い時間の中にぎっしりと詰め込んだ作品でした。

後期の楽劇『ジークフリート』や『神々の黄昏』に比べると、合唱の場面がふんだんにあるのがこの作品の特徴。ジークフリート&ブリュンヒルデ、トリスタン&イゾルテ等、主役の歌手の出来栄えで、オペラは大方の評価が決まりがちだけれど、今回、合唱に大いに魅せられました。

新国立劇場『さまよえるオランダ人』
合唱は新国立劇場合唱団で、多くが日本人(と思われる)。日本人女性は小柄な歌手が多いので、ヨーロッパの歌劇場の来日公演に比べるとビジュアルとして違和感がありそうに思っていました。だが実際には、ゼンタを務めた大柄のリカルダ・メルベートを引き立てるような雰囲気になり、演出として逆に効果的に感じました。

新国立劇場『さまよえるオランダ人』
マリーを演じた竹本節子氏は「大阪の世話焼きおばちゃんのようないい感じだな」と思ったら、大阪ご出身だった! 存在感があったなー。

ワーグナーが描く女性に共通するものって?

ワーグナーの世界ってやっぱり男のロマンですね。「私はいつも、お父様に従順な娘でいます♪」とか、「貞節の誓いの厳しさを知っています。一度それを捧げた人に、死ぬまで操を尽くします♪」とか。いやはや殿様キングスの『涙の操』と世界観が同じですな。

男が港に帰ってきたら、女子は全員ワンピースで踊り出して、金麦妻24本セット!って感じ。可愛かった。ちょっと萌えた。

「金麦妻」への私の想いはこちら

ゼンダもオランダ人への妄想が妄想を呼び、水色のワンピースで一人家の中でルンルン踊り出すし、どこか金麦妻っぽい。ただ、ビジュアルが病弱薄幸系女子なら、もう少し思い入れできたのだけれど、ガタイが大きなオペラ歌手ゆえ今一つリアリティーがないのが残念。

新国立劇場『さまよえるオランダ人』
ワーグナーの作品のテーマは「愛と救済」とはよく言われます。彼の描く女性って「オレ、もう疲れちゃったよ、パトラッシュ」という男のどうしようもない甘えを、全力で癒してくれるという点で、金麦のCMと同じなのかもしれません。だからこそ、ワーグナーのオペラも金麦の檀れいも、中年男性の圧倒的な支持を受けるのでしょう。そういえば、ワーグナー好きの女性ってあんまり見たことがない。

でも、『さまよえるオランダ人』のゼンダも『ローエングリン』のエルザも、「永遠の貞節を誓います!」って言った割には、幼馴染と二人で会ったり、“禁じられた問い”を尋ねてしまったり、肝心のところで優柔不断ぶりを発揮してしまうのはどうして???

いやー、ワーグナーってはまる。帰りがけ、日本ワーグナー協会の入会申込書を思わず手に取ってしまったわん。

新国立劇場『さまよえるオランダ人』公演情報