感想/芝居『鼬』、鈴木京香をマークせねば!

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演劇『鼬』
久しぶりのお芝居だ。この前、観に行ったのはいつだったっけ。ブログを読み返すと、宮本亜門演出の『金閣寺』以来かもしれない。

三島由紀夫×宮本亜門、芝居『金閣寺』へ再び(20141/4/16)

子供の成長に伴う教育費の上昇等、数年前に比べると観劇を自粛している。それでも、三ヶ月に一度はいいお芝居を観たいものだ。

欲と業にヒトが絡め取られる姿がリアル

さて、長塚圭史が昭和初期にヒットした真船豊の戯曲『鼬』を演出。俳優は、日本演劇界の至宝・白石加代子のほか、鈴木京香、高橋克実らが演じるということで、2014年の最後を飾るべく、楽しみに世田谷パブリックシアターに出かけた。

以下、シスカンパニーの鼬公式サイトよりあらすじを転載。

昭和の初め。東北の街道筋の旧家「だるま屋」の当主である萬三郎(高橋克実)は、明治このかた落ちぶれた 家の借金に苦しんだあげく、老母おかじ(白石加代子)を残し、南洋へ出稼ぎに出て、もう三年も戻ってこない。

そんな中、すでに抵当に入った家屋敷の処分が始まり、同じ村の債権者である村人たちが集まってきて、 互いの欲をむき出しにして、だるま屋の古畳までも争って剥ぎ取るありさまである。おかじもいよいよ、家を追われ、馬小屋へ寝るはめに陷るところへ、おとり(鈴木京香)という、この家の先代の娘であり、おかじには義理の妹にあたる女が、虚飾に満ちた風情で現れた。若い頃のおとりは、村の人々に不義理を重ねたあげく出奔したのだが、悪智惠と度胸を資本に各地をわたりあるき、今では羽振り良く暮らしをしているらしい。おとりを蔑んでいた村の人々も、 その出世を知って態度を変えはじめるが、十年前に相続争いで騒ぎを引き起こしたことを深い恨みとする義姉のおかじは、義妹を「泥棒鼬」と罵り、今度はどんなたくらみで戻ってきたのか、と怒り狂うのだが、当のおとりは、「生まれ故郷ほど せいせいすっとこは ねえなあ」と全く悪びれた気配はない。

おかじの怒りを冷笑しながら、おとりは、じつの甥であり、この家の当主である萬三郎が、まもなく南洋から帰国すると話し出した。

母親である自分も知らぬことを、なぜ、おとりが知っているのか・・・・。

果たして、おとりの狙いは何のか?!

20世紀初期、日本に資本主義が芽吹き、カネの魔力が地方の隅々にまで及ぶ。むき出しの欲と業にヒトが絡め取られる姿は、現代とさして変わらない。私は、弱肉強食、「カネ、カネ、カネ」の新自由主義のすさんだ世界を描いた、1983年の戯曲『グレンギャリー・グレン・ロス』に通じるものを感じた。

芝居『グレンギャリー・グレン・ロス』の初日へ(2011/6/11)

この『鼬』が初演された1930年代といえば、プロレタリア演劇が勃興した時期。ただ、資本主義批判として“テーゼ”的な方法でなく、あくまで人間のドス黒い欲と業をリアルに暴き出した点で、心にズッシリとのしかかる重さを感じた。

鈴木京香、ノーマークだった

さて、今回のお芝居、私は主演の鈴木京香よりも、至宝・白石加代子を期待して出かけた。鈴木京香のお芝居は観たことがなかった。彼女のテレビドラマも思い出せない。近年、ドラマ・映画『セカンドバージン』が記憶にあるくらいだ。

ところが、鈴木京香演じる悪女がいい! 圧倒的な存在感で、泥臭くて強欲なオンナを演じていた。

1968年生まれなので、私とほぼ同じ歳。1966年生まれの安田成美主演のお芝居を、ちょうど1年前に隣のシアタートラムで観たけれど、鈴木京香の方が断然惹きつけられた。今後、マークせねば!

安田成美演じる芝居『クリプトグラム』の感想(2013/11/17)

もちろん、白石加代子の鬼気迫る老女の演技にも、ラスト、ぐぐっと身を乗り出してしまった。

12月28日(日)まで、世田谷パブリックシアターで公演中。出かけて損なし!

世田谷パブリックシアター公式サイト