書評/『自分の音、聴いてる?』山本美芽著

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山本美芽『自分の音、聴いてる?』昨日のブログで、「アマコンのA部門、本選に毎年コンスタントに進む人は、“たぶん「聴く」ことに長けた人じゃないだろうか”」ということを書いた。

そういえば、一年ほど前に読んで感想を書けずにいた音楽書がある。山本美芽さんの著書『自分の音、聴いてる? 発想を変えるピアノ・レッスン』だ。

山本さんは著書『21世紀ヘのチェルニー 訓練と楽しさと』で、私を“ツェルニーカルト”から解放してくれた音楽ライター。ピアノ教育の常識に切り込んでいく彼女の文章に、ずっと注目している。

この本の冒頭に、昨日のアマコン二次予選で感じたことへの解答が書かれていた。

「どうやったらピアノがうまくなれるか」、その疑問に対して、多くのピアノの先生は「練習すること」と答えることだろう。ピアニストの指が速く動いていいるのは見えるが、ピアニストがどれぐらい聴く力を持っているのか、見ることはできない。だから、「ピアニストはたくさん練習したから、うまくなった」と、多くの人が考えてしまう。
(中略)
要するに、うまい下手といわれるものの正体は、練習量の差というより、聴いているかどうかによって生じる「練習の質」の差が、長い間積み重なって、演奏の質に決定的な差となってしまってあらわれた状態、といえる。

まさに「弾く力」とは、実は「聴く力」であると彼女は述べる。

では、聴く力を身につけるにはどうすればいいのか?

この本の中では、「読譜」「歌うこと」「ソルフェージュ」等、聴く力を得るためのさまざまなアプローチについて、クラシックだけでなく、ジャズピアニストやフュージョンのキーボーディストなど、多くのミュージシャンのインタビューを通じて解き明かしている。

あえて、聴く力を身につけるために、私が一番の近道と思ったところは、「室内楽、アンサンブルに積極的にトライすること」だった。

ピアノは一人でオーケストラに並ぶ音楽を紡ぐことができる反面、どうしても演奏する際、一人よがりになりがちだ。しかし、室内楽を演奏するには、まず一緒に弾く人の音をリズムを聴けないと音楽にならない。そして、パートナーを引き立てるには、自分の音のバランスを常に意識しなければならない。

この本を読んで、ソロでいい演奏をするために、定期的に室内楽や連弾をやることこそ実は近道だろうと確信した。

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コメント

  1. Ohmura より:

    はじめまして。大村と申します。
    ほぼ同世代のピアノ好きとして時々拝見させていただいています。
    並行して活動しているオーケストラの本番[ビオラを弾いてます]の本番がかぶってしまい参加できませんでしたが
    昨年はアマコン B部門で紀尾井で幻想ポロネーズを演奏しました。

    この投稿を拝見し、まったく同じ感覚を持っていたのでコメントしました。
    高校までピアノしか触っておりませんでしたが, 大学オケでビオラを始め
    10年くらい前からオケの仲間と定常的にピアノと弦とのアンサンブルを続けています。
    ピアノだけを弾いていたときから以下のようなことが変わったと自分で感じています。

    1) 呼吸をより意識するようになった: 実は弦は呼吸せずとも音が出せてしまうのですが、アンサンブルでは必須のスキルだと思います。
    2) スコアを縦に詳しく読むようになった: アンサンブルで特にピアノのパートは全てのパートを同時に見ることが必要になりますが, これによってバッハのような作品で声部毎に聴くことができるようになりました。またテンポ, 強弱, 表情記号などを以前より詳しく検討するようになりました
    3) 曲がより体の中に入ってくるようになった: 具体的に何と表現はできないのですが, 一人で弾けてもいざ合わせようとするとうまく通せないということはよくあり、ある程度弾きこまなければなりません。出来が1 stageあがる感じでしょうか。
    4) 演奏中事故が起きても止まらなくなった: 3)に関係するかもしれませんが, 手が間違えたり止まったりしたとしても音楽の流れが頭の中で止まることがかなり減りました。それによって演奏自体は止まらなくなってきているように思います。
    5) 和声に対する感覚が変わった: ピアノは自分で音程を変えることができませんが, ニュアンスや, 具体的に言えばFis DurとGes Durの違いのようなものが感じられるようになったと思います。

    逆にオケでビオラをやっていることで内声やバスが好きになってしまい, 昨年のアマコンではバランスが悪いと先生方には指摘されてしまいましたが。

    是非四重奏等もう少し大きな編成も経験してみてください。トリオはソリスト同士のぶつかり合い, 四重奏はアンサンブルみたいなことを言われたりします。実際合わせてみるとトリオと四重奏の違いは面白いと思います。

  2. >Ohmuraさま

    コメントありがとうございます。一緒にやっていたバイオリンの女性が出産でしばらくお休みしていたのですが、また久しぶりに室内楽やりたい、やらなきゃ!と思っています。今後とも、よろしくお願いします。